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Maison Francis Kurkdjian
若きスター調香師
ヴァンドーム広場とチュイルリー公園にほど近い場所に位置する Maison Francis Kurkdjianは、2009年のオープン以来世界中の香水ファンを惹き付けるメゾン。若くしてその才能を開花させ、自身のブランドをスタートしたFrancis Kurkdjian (フランシス・クルクジャン)は、いま最も話題になるパフューマーのひとりだ。
1990年ベルサイユの名門香水専門教育機関ISIPCAに入学。その5年後、弱冠25歳で、Le Mâle / Jean-Paul Gaultier (1995年)を調香、現在もその爆発的な人気は衰えず、発売から17年経つ現在も、男性香水の売り上げトップ5に入り続ける。はやくもスター調香師の階段を駆け上がる。
その後、高砂香料で調香師としての経験を重ね、Green Tea / Elizabeth Arden (1999年)、Miracle Homme / Lancome (2001年)、RUMEUR / Lanvin (2006年)、、数々の香水の調香に携わる。2011年にはLe Parfum / ELIE SAAB (2011年)で、FIFI賞の各部門賞を授賞した。
2001年にはオーダーメイドの香りの制作をうけるアトリエをオープンし話題に。2005年にはマリーアントワネットが当時使用していた香りの再現調香をおこない、名実共にフランスの調香師界になくてはならない存在となる。




Francis Kurkdjian フランシス・クルクジャン



ユニセックスの枠を越え、ユニバーサルな香りで人気の高いAqua Universalis



丹念につくられたキャンドルは、シンプルなフォルムにハイクオリティな香り。


APOM

Art de Vivre アール ドゥ ヴィーヴルを香りで表現する
白とグレーで統一されたブティックに足を踏み入れると、たちまち彼のオリジナリティ溢れる世界に導かれる。
ここはディスプレイ、ウインドー、インテリア、音楽など彼に共感するアーティストたちの香りを中心とするクリエーションの場でもあるそうだ。
「24時間の香りをデザインする」というコンセプト。シーンや時間に合わせた、いままでにない香りのアイテムが並ぶ。洗濯洗剤や柔軟剤、シャボン玉や紙のインセント…そしてキャンドル。
香りが詰まったシンプルなフラコンにはグレーのzinc / 亜鉛のキャップ。亜鉛はパリのオスマン建築の屋根につかわれている素材で、パリの空へのオマージュだそう。



シチュエーション、ヒトを選ばない自由自在な香り
コレクションの中で一番人気というAqua Universalis アクア ユニヴェルサリスは、クルクジャンのトレードマークとも言える、白いシャツ、肌と清潔なリネン、シーツと空気、大きさと小ささ、女性と男性の間をイメージしたユニバーサルなイメージの香りで、あらゆるシーンや人に似合う香りを目指したという。トップにカラブリア産のベルガモット、シチリアのシダーが続き、スズラン、セリンガの花、軽やかなウッディーとムスクで締めくくられる。コロンのようなタッチでまとえるライトな印象。
意外なアイテムとして人気なのは、同じ香りの洗濯洗剤と柔軟剤。シーツやリネンを洗えば、ベッドの中はやさしい香りにつつまれる。ユニークなクリスマスプレゼントとしても人気。また、クルクジャンの香りはフレグランスキャンドルを灯して愉しむこともできる。キャンドルは手作りで、制作に3日間かかるそうだ。


「私の一部分」と名付けられた香り
APOM は、A Part Of Me の頭文字をとってつけられた。自分の一部分を分かちあうというエスプリを表現した香り。オリエントのシロッコ(北アフリカから地中海へ向けて吹く南風)からインスピレーションをうけ、地中海の色、感触、瞬間、自分のすぐそばにある美しさとあたたかさを描いた。チュニジアのネロリとシダーウッドが優しく強いオーラを放つ、ライトでセンシュアルな香り。



闇に光るクルクジャンのローズ
香料としてもっともクラシックで、アイコン的な存在のローズをいかに扱うかはそのパルファンメゾンのスタイルをあらわすとも言える。クルクジャンのローズのパルファン Lumière Noire ルミエール ノワール(闇の光)は、ローズとパチュリ、その相反するエレメントが同時に存在するように香る。pour Femme プール ファムではそこにスパイシーなクミンやレッドペッパーがそえられ、水仙がエレガントさをひきたてる。pour Homme プール オムではシナモン、クミンのスパイス調、ニガヨモギがアクセントとなる、ウッディーシプレタイプの香り。


記憶、想いを香りに託す
クルクジャンの香りのインスピレーションの源は、幼い頃の記憶や家族への想いに繋がっている。たとえば、Cologne pour le Soir コローニュ プール ソワール(夜のためのコロン)は、彼の祖父が習慣として、夜就寝前に飲むナイトキャップと祖父の部屋の家具の木の香りのイメージ。安息香やブルガリアンローズのハチミツ、インセントなどの香りのオリエンタルアンバー調。子どもだったクルクジャンが祖父を思い浮かべて記憶の香りを探った様子が浮かぶ。 対して草花や柑橘系にラベンダーやネロリが加わるフレッシュでなめらかなパウダリーな香りPour le Matin (朝のためのコロン)は目覚めのやわらかな枕から心地よく香る清々しい花々の香りのイメージ。

また独創的で気軽なプレゼントにも人気の香りのシャボン玉は、姪のAgathe が6歳の時のプレゼントとしてつくられたもの。洋梨、スミレ、ミント、ハーブの4種。童心にかえってシャボン玉を吹くと、香りの玉が宙を舞い、はじける。

好奇心とアイデア溢れる創造力は新たな香りのストーリーを生み出し、2012年には、甘いウッディー調のアミリスに、イリスがパウダリーに香るAmyrisを発表。海外にも展開をはじめ、日本にも2012年9月に上陸した。モダンでライトなタッチの香りが多いので、日本人の好みにも合いそうだ。自身のブランドをスタートしてまだ数年だが、年々広がりをみせていくクリエイションから今後も目が離せない。

Maison Francis Kurkdjian
5, rue d'Alger - 75001 Paris
Tel : +33 (0)1 42 60 07 07
Metro: M1 Tuileries

http://www.franciskurkdjian.com/


Lumière Noireは、pour FEMME / pour HOMME の展開だが、クルクジャンのモダンなタッチの香りは性別を選ばない。女性がpour HOMMEをチョイスするケースも多いそうだ。

クルクジャンのアイテムは、従来のパフューマリーの枠を越え、生活や人生に流れる時間の中に様々な香りが存在すること、その香りを追求する楽しみを改めて感じさせられる。左上: キッチン等の消臭効果もある紙香 / 右上: 香りのブレスレット / 左: 姪のために作られた香りのシャボン玉
Amyris Amyris
2012年の新作 Amyrisは、あまりなじみのない「アミリス」という、サンダルウッドに似た温かみのあるウッディー調の香りにスポットをあてた作品。

 
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