parfum、bougieにまつわる話から、食やお花の話題、ブティック情報、フランス各地のイベント情報まで
パリから旬のエッセンスをお届けします。
右:店主のピエール氏。

下:「Le Mur des Saveurs(=風味の壁)」と名づけられた陳列。どんどん自分で香りを試してみることができる。

上:息子さんの誕生を記念して作られた、「THE DE VICTOR」。右上:一杯分の量からでも買うことができる。袋もかわいらしい。右:種類ごとに色分けされたお茶たち。


Le parti du Thé /
ル・パルティ・ドゥ・テ

34, Rue Faidherbe 75011 Paris
TEL 01 43 72 42 04
www.lepartiduthe.com

営業日火~土
Métro:M8 Faidherbe-Chaligny

 
パリ11区、バスティーユの喧騒から少しはずれた、庶民的でアーティスティックなエリアにお茶専門店“Le parti du Thé”がある。お店に足を踏み入れたとたん、お茶のいい香りに包まれる。
「お茶をお金もちの人だけでなく、もっと、気軽に誰にでも飲んでもらえるようにしたい。そういう気持ちを込めて“Le parti du Thé”という名前は政治の政党名のような雰囲気にしました。他のお茶のブティックはスノッブだから!」
と語りはじめてくれた、店主のピエール氏。
モダンでカジュアルな内装の店内。その壁一面にぎっしりとお茶のサンプルが並べられている。
ピエール氏は、この壁を「Le Mur des Saveurs(=風味の壁)」と呼んでいる。
そこから自由に気になるお茶を手にとって、その逸話や抽出方法を知ることができる。
お店には近所に住む学生からご老人まで。子連れのお母さん。もちろんお茶に精通した方もやって来る。
自由でシンプルでモダン。お茶の伝統と高級嗜好な文化を壊したかった、と語る彼がお茶に興味を持ったのは、学生時代。知りたい、という情熱はあっても、いいお茶は若い彼にとって手に入れるには高すぎた。
そんな自身の経験が商品に生かされている。すべてのお茶を、一杯分から買うことができるのだ。高価なお茶でも、まず一杯を楽しめればそこからお茶に対する興味は広がってゆく。そのちいさな気遣いに心を打たれた。

パリジャン流にお茶を楽しむ
「天空の庭」「幸せはお茶の中に」・・・お店のスペシャリテは、やはり詩的なタイトルの数々の、「Parfum thé(香りのお茶)」。
ピエール氏のアイディアで生み出されるフルーツや花、スパイスなどをふんだんに使ったお茶は、香るだけでうっとりとしてしまう。
最新作は?と尋ねるととうれしそうに紹介してくれたお茶は「Thé de VICTOR」。息子さんの誕生を記念して作ったお茶だそう。「ビクトールのように柔らかくて甘い、けれども少しスパイシーなイメージにしたかったのです。」というお茶は、なんとも言えない、花の柔らかな香りにほんのりとスパイスが温かみを出し、優しい香りがした。
オリジナルティーのアイディアは、散歩の途中に漂ってくる窓越しのゆうげの香り、音楽や詩からのインスピレーションなど。日々の暮らしにそのヒントがちりばめられているのだそうだ。

お茶と楽しむおすすめのマリアージュ
学生時代から独学でお茶を学んできた氏。お茶への情熱を持ち続け、とにかくたくさんのお茶を飲み続けてきたという。
そんな彼にどうしても聞いてみたかったのは、お茶のスペシャリストならではの食べ物とのマリアージュ。やはりそこにもパリジャンらしさが。
「クセのあるチーズなどによくあうのは、Yunnan(ユナン)。おやつの時間のガトーショコラにはPanYangが気に入っています。また、魚料理にはスモークされたお茶などどうでしょうか。」


庶民のための紅茶店でありたい
いたるところに、彼らしい心遣いが感じられる店内。扱っている茶器などには日本のデザイナーを起用したものもあるという。お店のロゴマークの制作を依頼したのも、モダンなデザインの茶器も手がける、富田和彦氏。

そんな店主のプライベートについても語っていただいた。
「好きな季節はもちろん春。お茶がもっとも多く出る時期ですし、息子が生まれたのも春でした。春には太陽や自然が一斉に目覚め、寒い冬を過ぎて人々(パリジャン)にも笑顔が戻ってきますから。プライベートの時間?いまはもっぱら子どもの世話です(笑)。以前は音楽をたくさん聴いていました 。ソウルやジャズ、ヒップホップ。。。レコード盤の音が好きなんです。
無数の香りを操る彼に好きな香りについても聞いてみると。
「木の湿ったような森の香り。そして海の匂いが好きです。」
一日に、どの位のお茶を飲みますか?
「まず朝はコーヒーです(笑)。エスプレッソが大好きなので。 その後は昼夜 とたくさんのお茶を飲みます。一日3~4リットルくらい?それは言い過ぎ!冗談です(笑)!」

明るくて気さくで優しいピエール氏のお店には、お茶とそれを楽しみたい全ての人々への愛情が溢れている。


 
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