フランス南東部に位置する第2の都市リヨンは、中世から有数の交易地として繁栄してきた。絹織物の名産地としても知られ、世界の布の歴史を紹介する織物博物館もある。シルクのスカーフ、エルメス・カレもリヨンで作られている。商業都市であり、映画誕生の地として芸術、文化都市でもある。そして食通の街ともいわれるリヨン、新市街を挟んでソーヌ川とローヌ川が流れ、ソーヌ川の西岸の旧市街には石畳が残り、ルネッサンス様式の建物が並ぶ。フルヴィエールの丘には1643年にリヨンを襲ったペストから町を救済したといわれる聖母マリアに捧げられたノートルダム・ド・フルヴィエールバジリカ聖堂がそびえ立つ。1852年12月8日にこの聖堂の鐘楼に金箔のマリア像が据えられた事に由来し、毎年12月8日の夜にリヨンの人々は家々の窓際に感謝の捧げ物としてロウソクを灯してきた。以来、約150年間続いている光で街を灯すこの伝統行事は、今では「光の祭典」として12月8日を中心とする4日間に開催されている。歴史的建造物、広場、電車などもライトアップされ、光とアートのスペクタクルが繰り広げられる。期間中、街中の窓辺に灯すキャンドルの購入金額の一部は世界飢餓の援助金として寄付されている。約80のライトアップイベントにより、街全体が光に包まれるが、必見はやはり12月8日に窓々に灯される幻想的なキャンドルの明かりと、フルヴィエールの丘一帯に連なる灯火。昔から変わらぬキャンドルの灯りで彩られる景色は温かく心を落ち着かせる。