闇に光るクルクジャンのローズ
香料としてもっともクラシックで、アイコン的な存在のローズをいかに扱うかはそのパルファンメゾンのスタイルをあらわすとも言える。クルクジャンのローズのパルファン Lumière Noire ルミエール ノワール(闇の光)は、ローズとパチュリ、その相反するエレメントが同時に存在するように香る。pour Femme プール ファムではそこにスパイシーなクミンやレッドペッパーがそえられ、水仙がエレガントさをひきたてる。pour Homme プール オムではシナモン、クミンのスパイス調、ニガヨモギがアクセントとなる、ウッディーシプレタイプの香り。
記憶、想いを香りに託す
クルクジャンの香りのインスピレーションの源は、幼い頃の記憶や家族への想いに繋がっている。たとえば、Cologne pour le Soir コローニュ プール ソワール(夜のためのコロン)は、彼の祖父が習慣として、夜就寝前に飲むナイトキャップと祖父の部屋の家具の木の香りのイメージ。安息香やブルガリアンローズのハチミツ、インセントなどの香りのオリエンタルアンバー調。子どもだったクルクジャンが祖父を思い浮かべて記憶の香りを探った様子が浮かぶ。
対して草花や柑橘系にラベンダーやネロリが加わるフレッシュでなめらかなパウダリーな香りPour le Matin (朝のためのコロン)は目覚めのやわらかな枕から心地よく香る清々しい花々の香りのイメージ。
また独創的で気軽なプレゼントにも人気の香りのシャボン玉は、姪のAgathe が6歳の時のプレゼントとしてつくられたもの。洋梨、スミレ、ミント、ハーブの4種。童心にかえってシャボン玉を吹くと、香りの玉が宙を舞い、はじける。
好奇心とアイデア溢れる創造力は新たな香りのストーリーを生み出し、2012年には、甘いウッディー調のアミリスに、イリスがパウダリーに香るAmyrisを発表。海外にも展開をはじめ、日本にも2012年9月に上陸した。モダンでライトなタッチの香りが多いので、日本人の好みにも合いそうだ。自身のブランドをスタートしてまだ数年だが、年々広がりをみせていくクリエイションから今後も目が離せない。
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Lumière Noireは、pour FEMME / pour HOMME の展開だが、クルクジャンのモダンなタッチの香りは性別を選ばない。女性がpour HOMMEをチョイスするケースも多いそうだ。
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クルクジャンのアイテムは、従来のパフューマリーの枠を越え、生活や人生に流れる時間の中に様々な香りが存在すること、その香りを追求する楽しみを改めて感じさせられる。左上: キッチン等の消臭効果もある紙香 / 右上: 香りのブレスレット / 左: 姪のために作られた香りのシャボン玉 |
2012年の新作 Amyrisは、あまりなじみのない「アミリス」という、サンダルウッドに似た温かみのあるウッディー調の香りにスポットをあてた作品。
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