parfum、bougieにまつわる話から、食やお花の話題、ブティック情報、フランス各地のイベント情報まで
パリから旬のエッセンスをお届けします。
page2

モダニズムの時代、黄金時代を迎えた香水産業
1920年代は、フランスの香水産業にとってもまさに華麗な時代であった。ラジオやレコードが普及し、映画、ファッションへの関心が高まり、フランス文化のひとつの最盛期だったともいえる。パリでは装飾芸術のクリエイティブパワーが急成長し、アーティストとクラフツマンがエレガントで独創的なインテリアデコレーション、家具、照明、テキスタイル、クリスタルウエアを次々と創出した。ジャズが街中にあふれていたそうだ。パリジャンのテイスト、ファッション、アクセサリー、香水が再び優勢となり、"Femme nouvelle" (新しい女性)のニーズに焦点があてられた。"モダンな新しい女性”は自立を切望し、独りでバーに行き、公衆の面前でタバコを吸い、自分の車を運転する。プロポーションはスリムで日焼けをし、メイクアップをして髪はショート。ココ・シャネルの気取りのないエレガント、短い丈のスカートやジャン・パトゥのスポーティなルックを好んだ。エレガント、エキゾチック、センシュアルと多種多様な香りのクリエイションが行われ、香水の種類が著しく増えたという。

「旅」 20年代の贅沢なライフスタイルとして
旅もこの時代に出現した新たなライフスタイル。人々は地中海をヨットで航海し、国際派エリートと呼ばれた人達は大西洋を豪華客船で渡り、はるか海の彼方の国まで豪華な長旅をするようになった。エレガントな女性たちは、毎シーズン、ワードローブを新調し、アクセサリーと最新の香水を用意し、船旅を楽しんでいたという。船上でのカクテルパーティ、レセプション、旅先で周囲の人から見られることを意識した香水のフラコンが作られるようになった。また持ち運びに適した仕様にデザインされたものや、携帯に便利なアトマイザーも登場した。

バカラと香水
1860年代、バカラは一流のパフューマー(Guerlain, Houbigant, Pinaud, Violetなど)のために最初のクリスタルのフラコンを発表した。当時、フラコンは四角くクラシックな形状でブランドのラベルが貼られているものだったが、間もなくフラコンのデザインが重要になることをバカラは確信していたという。1897年、1日に製造されるフラコンは150個だったが、1907年にその数量は一挙に4,000個を超え、第一次世界大戦後にマーケットは更に拡大していった。そしてバカラとパフューマーFrançois Cotyとのコラボレーションによって香水とフラコンの新たな歴史が始った。1920年代、ファッションデザイナー達の香水がバカラの顧客に加わった。さらにLouis Süe, Georges Chavalierなどのクリエイティビティとバカラクリスタルの類まれな高度な技術が組み合わされ、贅沢なオーダーメイドのフラコンが実現した。極上の香水を入れるデラックスな入れものとして、バカラは斬新なデザイン、可能な限りのテクニックを惜しみなく採り入れたという。香水を選ぶ際に その香りはもちろんのこと、フラコンも重要な要素となったのである。以来、バカラはパフューマーとともにソフィスティケイトされた独創的なフラコンを作り続けている。フランス内外の外部デザイナーとのコラボレーションも盛んに行われている。最近のプレステジアスエディションとしては Boucheron, Caron, Dior, Annick Goutal, Guerlain, Jean Patou そしてBurberry, Cartier, Lolita Lempickaなどがある。これらの名作は、きっと将来のコレクターズアイテムになるであろう。

クリスタルに反射する光。光を閉じ込めたり、拡散させたり。光と鏡の組み合わせ。スタルクの解釈によって創りだされた空間はまさにイリュージョン。計算つくされた巧みなしかけは、絶妙なバランスでクリスタルの美しさを惹きたてている。訪れればクリスタルのマジックを体感できるひとときを過ごせるだろう。


< 1 2




左:
サカナ、イルカをモチーフにした旅のスタイルを象徴するフラコン

右:Jean Patouのフラコンは皮のケース付き





Gallerie-Musée Baccarat / ギャラリーミュージアム バカラ
11, place des Etats-Unis 75116 Paris TEL 01 40 22 11 00
営業日 月・水〜土 10 :00 – 18 :30
Métro: M9 Iéna/M6 Boissière
Website:Galerie-Musée Baccarat



 
プライバシーポリシー